「よくこんなことを考えつくな」ーワクチンのデマ

   記事を書いているのは忽那賢志(くつなさとし)博士。

   大阪大学大学院医学系研究科 感染制御医学講座 教授、兼

  大阪大学医学部附属病院 感染制御部 教授。専門は感染症学。

                    

いま日本国内で新型コロナワクチン接種が

急ピッチで進められています。

 

8月末時点で2回接種を終えた人の割合は、

総人口のうち約45%に達しました。

 

ワクチン接種が進む一方で、

新型コロナワクチンの危険性を喧伝する

「反ワクチン本」が多数出版されています。

 

その内容を見ると、

「遺伝子改変が起こる」不妊になる」など、

医学的に誤った情報があふれています。

 

 

「よくこんなことを考えつくな」

と驚くようなものもありました。

 

 

そうした書籍の中には、

ネット通販で売れ行きランキングの上位に入っているものもありますし、

本にある誤情報が、個人のSNSを通じてネット上にも出回っている状態で、

さすがに看過できません。

 

もともと日本は、ワクチンへの信頼性が低い国です。

 

ですから新型コロナワクチンについても、

不安を抱く人は一定数いるだろうと予想はしていました。

 

反ワクチン論者たちは、

その不安につけこんでいるわけです。

 

 

ワクチンを接種するかどうかは、

あくまで個人の判断にゆだねられています。

 

 

「何が何でも打ったほうがいい」というものではなく、

打たない選択肢もあります。

 

 

ただ、ワクチンを打てば

感染や重症化は高い確率で防げます。

 

大阪府の調査では、今年3月以降、ワクチンを2回接種した感染者の中には

死亡や重症化したケースがなかったと明らかになりました。

 

東京でも今年7月19日以降の1カ月間で、

2回接種で亡くなった方は全体の2%だという調査結果が出ています。

 

一方、ワクチンに副反応はつきもので、

100%の安全性を求めることはできません。

 

 

これらの効果と副反応を天秤にかけた上で、

接種するかどうかを判断するわけですが、

このとき医学的に誤った情報やデマに惑わされて、

接種の機会を逃してしまうのは、

ご自身にとっての不利益につながりかねません。

 

接種をためらっている読者の方々には、

正しい情報を知った上で、

ワクチンを打つかどうかを決めていただきたいです。

 

 

そこで今回、

「反ワクチン本」の偽情報やデマを紹介し、

医学的・科学的な視点から、しっかり検証していきたいと思います。

 

 

正確性をより追求するため、新型コロナワクチンについての

正確な情報を発信する団体「こびナビ」

副代表の木下喬弘医師にも監修をお願いしました。

 

RNAワクチンの特徴を詳しく説明しています。

ワクチンの基本、接種後の副反応、反ワクチン本の実際の内容など・・

bunshun.jp

 

mRNAワクチンの技術は新型コロナワクチンで

初めて実用化されました。

 

 

また、人間への接種開始からまだ1年も経っていないため、

「接種から何年か後に

重大な副作用が生じるのではないか」と、

長期的な安全性を懸念する声もよく聞きます。

 

 

結論から言うと、

mRNAワクチンの成分が

長期的に体内に残ることはありません。

 

 

mRNAは、細胞内でタンパク質を合成するリボソーム

数日以内に使用され、その後すぐに分解されるからです。

 

mRNAによって産生されるスパイクタンパクも、

接種後2週間で体内から消失すると言われています。

 

 

こうした機序(薬が効果を発揮する仕組み)から見ても、

接種後1年以上が経過してからの副反応は、

極めて考えにくいのです。

 

実際、これまでのワクチン接種では、

重篤な副反応は投与後の数週間以内でしか確認されていません。

 

 

また、mRNAワクチン

確かに新しいプラットフォームのワクチンではありますが、

全く新しい技術というわけではありません。

 

実はmRNAワクチンの技術は何十年も前から、

多くの科学者によって研究されてきました。

 

インフルエンザウイルス、ジカウイルスなど、

まだ実用化にいたっていないものの、

多くの分野でワクチンに応用すべく研究されています。

 

何十年にもわたるmRNAワクチンの研究では

臨床研究も実施されましたが、

長期的な副反応は認められていません。

                 ( 9/14  文春オンライン記事ランキング No.1 )

 

 

「接種から何年か後に

重大な副作用が生じるのではないか」

 

これが、みなさん、一番、関心があることではないでしょうか。

はっきりした解答に、少し安心いたしましたね。

 

 

 

「実はmRNAワクチンの技術は何十年も前から、

多くの科学者によって研究されてきました。」

 

山中教授と対談したカリコ博士も研究者でしたね、それも立役者!

 

www.nhk.or.jp

 

 

 

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